
今回、令和7年4月1日施行の
改正建築物省エネ法
・現在、中規模以上の住宅に適用されている届出義務制度及び小規模住宅・非住宅に適用されている
建築主に対する説明義務制度は、省エネ基準適合義務制度開始以降 (R7.4.1) は廃止され、令和7年4月
1日以降に着工する原則全ての住宅・建築物について省エネ基準適合が義務付けられます。
但し、以下の建築物については適用除外となります。
適用除外
① 10㎡以下の新築・増改築 |
② 居室を有しないこと又は高い開放性を有することにより空気調和設備を設ける必要がないもの |
③ 歴史的建造物、文化財等 |
④ 応急仮設建築物、仮設建築物、仮設興行場等 |
・省エネ基準適合義務制度は、増改築を行う場合にも対象となります。「増改築」には、修繕・模様替
え(いわゆるリフォーム) は含まれません。増改築の場合は、増改築を行う部分が省エネ基準に適合
する必要があります。
・省エネ基準について
省エネ基準適合に当たっては、住宅の場合は
外皮性能基準と
一次エネルギー消費基準にそれぞれに
適合する必要があります。
住宅に於ける外皮性能
① 外皮平均熱貫流率UA値[W/(㎡・K):室内と外気の熱の出入りのしやすさの指標、値が小さいほど熱が出入りしにくく、断熱性能が高い。この地域は区分3地域なので、UA=0.56となります。 |
② 冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)値:太陽日射の室内への入りやすさの指標、値が小さいほど日射が入りにくく、遮蔽性能が高い。この地域は区分3地域なので該当しません。 |
一次エネルギー消費性能
建築物の一次エネルギー消費性能はBEI値により判定され1.0以下となることが必要です。
BEI:実際に建てる建築物の設計一次エネルギー消費量を、地域や建物用途、室使用条件などにより定められている基準一次エネルギー消費量で除した値。 |
・省エネ基準への適合を確認するためには、新3号建築物を除き、エネルギー消費性能適合性判定
(省エネ適判) を受ける必要があります。省エネ適判を行うことが比較的容易な特定建築行為に該当
する場合は省エネ適判を省略し、建築確認審査と一体的に省エネ基準への適合を確認します。
省エネ適判を行うことが比較的容易な特定建築行為
① 仕様基準に基づき外皮性能及び一次エネルギー消費性能を評価する住宅 |
② 設計住宅性能評価を受けた住宅の新築 |
③ 長期優良住宅建築等計画の認定又は長期使用構造等の確認を受けた住宅の新築 |

住宅省エネの変遷
1979年(昭和54年)石油危機を契機に燃料資源の有効活用とエネルギー使用の合理化を
目的として、法律が制定されました。(省エネ法 ) 旧省エネ基準
その後1992年(平成4年)新省エネ基準、1999年(平成11年)次世代省エネ基準、そして
2013年(平成25年10月)平成25年省エネ基準として改正強化されました。
さらに、2021年 (令和3年10月) には省エネルギー基準適合義務の対象外である住宅及び
小規模建築物の省エネルギー基準への適合を2025年度までに義務化、2030年度以降新築される
住宅・建築物について、ZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指して改正されました。

平成25年改正の背景
東日本大震災における電力需給の逼迫、国際情勢の変化によるエネルギー価格の不安定化等
から住宅のエネルギー自給(自立)の必要性の認識、また節電協力要請の際の「我慢の省エネ」
を行い居住者が体調を崩すこともあったことを踏まえ、単に省エネのみならず居住者の
健康状態等への配慮の必要性も認識されました。
また、化石燃料の多大な燃焼に伴い温室効果ガスの濃度が上昇し、地球温暖化を
促進してしまいます。
さらに、化石エネルギー資源の枯渇という問題もあります。
現在のペースでの可採年数は石油36年、天然ガス54年、石炭116年といわれています。

平成25年改正の概要
平成11年の次世代省エネ基準では、外皮の断熱性能と夏季における日射遮蔽性能に関する
基準でしたが、外皮の断熱性能を強化しても家の中で使用する設備機器の省エネ化が
図られなければ、家全体としての消費するエネルギーを減らすことはできませんでした。
平成25年省エネ基準は、外皮の熱性能基準に加え暖冷房、給湯、照明なども含めた
住宅設備機器のエネルギー効率や再生可能エネルギーの活用などを勘案した
一次エネルギー消費量の基準が設けられました。

令和3年改正の背景
2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減(2013年度比)の実現に向けて
2021年10月、地球温暖化対策等の削減目標を強化しました。
エネルギー消費の約3割を占める建築物分野での省エネ対策の加速と、木材需要の約4割を占める
建築物分野での木材利用を促進させることが必要。

令和3年改正の目標
2050年に住宅・建築物のストック平均で、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(
ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを
目指し、2030年度以降新築される住宅・建築物についてZEH・ZEB基準の水準の省エネルギー性能
の確保を目指すとしています。
また、今回改正して、住宅及び小規模建築物の省エネルギー基準への適合を2025年度までに
義務化させるとしています。
(R7.3.現在)
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