工務店とハウスメーカー
住宅の価格は、昔から「坪単価」といって、住宅の面積一坪当たりにいくら掛かるかが一つの目安とな
っています。
以前、ほとんどの大工、工務店では付帯工事、諸費用も全て含んだ「住める状態」で坪単価○○万円と
いってましたが、ハウスメーカーといわれる大手フランチャイズでは、全て含んでいたものを(都合よ
く)分解して、本体価格や基本本体価格などとし坪単価○○万円(付帯設備、付帯工事、諸費用別途)
のような表示になっています。
付帯設備、付帯工事、諸費用が入っていないので、「住めない状態」です。
お客様はそのへんの事は詳しくは知らず(又は知らされず)ただ単に「坪単価はいくらですか?」と聞
きます。
我々大工、工務店側は「住める状態」の坪単価、ハウスメーカー側は「住めない状態」の坪単価ですの
で、そもそもスタート時点から大きな違いがありました。
つまり、ハウスメーカー側は本体価格や基本本体価格などで安く見せておいて、付帯設備、付帯工事、
諸費用、オプション工事、仕様変更差額…を後で付け足して「住める状態」にもっていき、最終的には
工務店側と同じかむしろ高くなるのが一般的です。
基本仕様
最近では大工、工務店側も 基本本体価格(基本仕様坪単価)、付帯設備、付帯工事、諸費用と分けて表
示する事が多くなってきました。
ハウスメーカー側と比較できるように、また
基本仕様を標準化する事により安定した品質を確保で
きるようになると思うからです。
しかし、基本仕様の中身については統一されたものが無く、各ハウスメーカー、大工、工務店それぞれ
のポリシーによって様々なのが現状です。
そして基本仕様の枠から外れると、特にハウスメーカーの場合坪単価はどんどんアップしていく傾向が
あるので注意が必要です。
基本仕様の内容を良く検討し、付帯設備、付帯工事、諸費用はいくらなのか、また別途項目はどれとど
れなのか?確認する事をお勧めします。
例ですが、基本仕様坪単価28万円で安いと思って飛びついたら、別途項目が次々にでてきて、付帯設備
、付帯工事、諸費用全部合わせたら坪単価50万円になってしまったが、引くに引けなくなりやむなく契
約をしてしまった。こんな話は良く聞きます。
利益率(経費率)
住宅会社を経営、存続していく為には当然ながら、利益(経費)が必要です。
あるセミナーで得た情報なのですが、利益率(経費率)は一般的に下表のようになるようです。
利益率(経費率)
・大手ハウスメーカー |
販売価格の35%~50% |
・中小のハウスメーカー |
販売価格の20%~28% |
・自分で現場に出る大工、工務店 |
販売価格の15%前後 |
※この利益(経費)以外のお金は、常用で雇っている場合は大工、人夫さんの工賃、各工事それぞれの
協力業者さん(基礎屋さん、屋根屋さん、木材、建材屋さん、内装屋さん、設備屋さん他)へ支払われ
ます。
利益率(経費率)が何パーセントといわれてもあまりピンと来ませんが、例えば2,500万円の販売価格だ
とすれば、次のようになります。
利益(経費)
・大手ハウスメーカー |
利益(経費)2,500×0.35~0.5=875~1,250万円 |
・中小のハウスメーカー |
利益(経費)2,500×0.2~0.28=500~700万円 |
・自分で現場に出る大工、工務店 |
利益(経費)2,500×0.15=375万円前後 |
大手ハウスメーカーさんの利益率(経費率)が35~50%とは驚きですが、あれだけのTVコマーシャル料
、莫大な宣伝広告料、営業マンの給料、住宅展示場の維持費…を考えると当然といえば当然なのかもし
れません。
利益(経費)の内容は性能、品質など一定のレベルに保つように管理する費用、宣伝広告料、住宅展示
場の維持費、営業経費、会社維持運営管理の人件費なども含まれます。
つまり、会社を維持運営存続させるためのお金が利益(経費)といえます。
自社の例です
千葉県の酒々井町に建てさせて頂いた住宅です。(平成14年4月竣工)
「高性能住宅」外断熱工法でオール電化仕様です。(工事面積約44坪、ウッドデッキ、バルコニー付)
「コンパクトで健康的に過ごせる住宅を」というご要望でした。
内装には、自然素材の木材(秋田杉 杉板)、エコロジークロスなどを使用しています。
当然ながら、「住める状態」で坪単価約55万円でした。(自社利益約15%含み、消費税は別途)
その内容は次の通りです。
・基本仕様本体価格 |
坪単価 39万円 |
・仕様変更差額分 |
坪単価約 6.2万円 |
・付帯工事費 |
坪単価約 2.5万円 |
・オプション工事費(オール電化、防音室) |
坪単価約 7万円 |
・諸費用 |
坪単価約 0.3万円 |
合計 |
坪単価約 55万円 |
現在自社では、
自由設計「外張り+充填」高性能ダブル断熱(総二階30坪以上基準)で次のようにな っております。
対象エリアは、湯沢雄勝、横手平鹿地域です。(自社利益約15%含みます、消費税は別途です。)
概算御見積もり
・基本仕様本体価格 |
坪単価 63.0万円 |
設計料含む 下表の基本仕様を確認してください。 |
・仕様変更差額分 |
坪単価 ??万円 |
基本仕様変更のある場合 |
・付帯工事費 |
坪単価約12.0万円 |
工事場所、諸条件により異なります。 |
・オプション工事費 |
坪単価 ??万円 |
|
・諸経費 |
坪単価 4.0万円 |
地盤調査費、産業廃棄物処理費、仮設トイレなど |
合計 |
坪単価約 79.0万円 |
仕様変更差額及びオプションは含まれておりません |
なお、上記はあくまで建築工事費の目安を示すものですので、正式な図面が決定次第に本見積書を作成
して納得いただいてから工事契約を締結する事になります。
(準防火地域に建てる場合は外壁、軒裏、外部建具及び玄関建具に建築基準法の制約を受けますので、
別途追加工事が発生いたします。)
基本仕様
基礎 |
防湿気密シートの上ベタ基礎T=150mm(鉄筋タテ、ヨコD13ピッチ250 シングル) |
木材 |
構造躯体は含水率18%以下の乾燥木材、造作材は杉、松集成材又は既製品
土台-3.5寸巾桧又はヒバKD材、柱-3.5寸巾杉又はレッドウッド集成材、梁-3.5寸巾米松KD又は米松集成材 |
気密仕様 |
屋根:合板T=12㎜張り+気密テープ貼り |
外壁:EXハイパーボードT=9.5mm張り+気密テープ貼り |
土台、窓廻り:先張り気密シート+気密パッキン |
断熱仕様 |
基礎:ポリスチレンフォームEⅢ種T=50mm(型枠打込施工)+気密テープ(外断熱) |
外壁:ポリスチレンフォームEⅢ種T=40mm+気密テープ(外張り)+ポリスチレンフォームEⅢ種T=50mm+気密テープ (充填) |
屋根:ポリスチレンフォームEⅢ種T=40mm+気密テープ(外張り)+ポリスチレンフォームEⅢ種T=50mm+気密テープ (充填) |
換気設備 |
排気型セントラル換気システム+局所換気(キッチン、浴室) |
暖冷房設備 |
寒冷地仕様エアコン(別途)想定電源及びスリーブ設置 |
給湯設備 |
寒冷地仕様エコキュート |
キッチン |
I型システムキッチンL=2,550mm(IHクッキングヒーター仕様) |
浴室 |
1坪用ユニットバス(バリアフリータイプ) |
洗面脱衣室 |
シャンプードレッサーW=750タイプ |
トイレ |
手洗い付洋風腰掛便器(1F1ヵ所 ウォシュレット付) |
屋根 |
ガルバリウム鋼板横長尺葺きT=0.35mm(切妻3寸勾配基準) |
外壁 |
窯業系防火サイディング横張り T=14mm |
軒裏 |
ケイ酸カルシウム板張り(有孔板)AEP塗装 |
外部建具 |
樹脂製断熱サッシ、アルゴンガス入りLow-Eペアガラス |
玄関建具 |
遮熱鋼鈑製断熱玄関親子ドア(断熱性能K2) |
内装 |
床:木質フローリング張りT=12mm(F☆☆☆☆製品)和室-畳敷きT=60mm |
壁:ビニルクロス貼り(F☆☆☆☆製品 接着剤共)収納等-PB張りT=12.5mm |
天井:ビニルクロス貼り(F☆☆☆☆製品 接着剤共)リビング-杉板張り 収納等-PB張りT=9.5mm |
室内建具:ドア、引き戸既製品(F☆☆☆☆製品) 和室-襖、障子杉材オーダー |
建築設備 |
電気:一般屋内配線 住宅用火災警報器 (照明器具、屋外配線は別途) |
給排水衛生:一般屋内配管(浄化槽設備、屋外配管は別途) |
その他 建築工事に含まれない細かなものもあるので、一覧表を参照してください。
見積もりに含まれない主な項目
・契約書の印紙代、不動産取得による税金一切 |
・登記、融資、火災保険に関わる費用 |
・建築確認及び工事完了検査時の証紙代 |
・ 建築確認時の行政による指導、指摘事項に対する変更工事 |
・地盤調査結果による基礎の補強工事等 |
・雨樋 |
・カーテン、カーテンレール他什器備品 |
・ストーブ、エアコン等の暖冷房機器 |
・電話線引き込み(NTT工事)、ガス配管工事(供給業者) |
(R6.9.現在)
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